国が行う採用支援について

現在、日本の社会問題の一つとして大きく注目を集めているのが雇用についてです。2008年にアメリカで起きたリーマンショックの影響や2011年の東日本大震災などにより日本経済は大打撃を負い、失業率の高さは歴史的なものとなってしまいました。そしてそんな中でさらに浮き彫りとなったのが、新卒採用の内定率が極めて低い数字を出してしまったことです。経済の回復のためには消費、投資が必要なわけですが、そのためには一人でも多く収入を得ることが必要不可欠です。しかしながら、若者が就職をしなければ将来的にもそういった面に悪影響を及ぼしてしまいます。
そして、こういった現状を踏まえて問題となったことがあります。それは、求職者と求人側、すなわち企業による選り好みによるミスマッチが起こっていたことです。求職者は収入がよかったりネームブランドがあったりする大企業ばかり好み、名もない中小企業にはなかなか優秀な人材は流れてこないという状態です。しかし中小企業は日本の経済を支える大切な存在です。日本のほとんどの企業は中小企業であることに目を向けてもそれは当然です。そこに行政は目を向け、既存のハローワークに加え、新卒採用支援のための、「新卒応援ハローワーク」を全国各地に創設し、中小企業にも目を向けてもらい、就職を促す動きを見せています。そういった成果が見られたためか、新卒者の内定率は年々向上し、氷河期脱出へと向かっています。新卒応援ハローワークは現在では大学内に設置することも検討されており、さらにその成果が期待されます。
また、採用支援を促す動きを見せているのは何も行政だけではありません。こういった人材サービス業界の民間企業も少しでも優秀な人材が集まるよう、サイトを用いて広報したり、まとめて大きな会場を設置して説明会を開いたり民間企業ならではの動きを見せています。
また、こういった動きだけでなく、ハローワークでは職業訓練と呼ばれる支援も実施しています。今までは何らかの事情で就職をしていなかった人が就職しようとしても、中途採用の場合何らかのスキルを求められることが多く、そこで就職の門戸を閉ざされてしまうケースというのは非常に多かったです。しかしながら、この職業訓練では就職にあたって必要な技能を身につけることができるため、求職者の就職の幅が広がります。実務経験が足りないため厳しい現状は確かに変わりませんが、求職者の努力次第で受け入れてもらえるケースも少なからずあります。